最近、オーディブルで小説の朗読を聞くのが大好きです。
標準速度で聴くので、結構時間がかかる。
今回の作品は、15時間15分でした。
でも、2日で耳読了!!
今回のチョイスは、たまたま目についた作品で、作品自体も、著者も知らない。
聞こうと思った決め手は、タイトルとキャッチコピーでした。
『罪の境界』
被害者の願い、加害者の望み
さてさて、感想文を書いておきます。
ストーリー
無差別通り魔事件の加害者と被害者。決して交わるはずのなかった人生が交錯した時、慟哭の真実が明らかになる感動長編ミステリー。「約束は守った……伝えてほしい……」それが、無差別通り魔事件の被害者となった飯山晃弘の最期の言葉だった。自らも重症を負った明香里だったが、身代わりとなって死んでしまった飯山の言葉を伝えるために、彼の人生を辿り始める。この言葉は誰に向けたものだったのか、約束とは何なのか。
作品紹介より
『罪の境界』薬丸岳 | 幻冬舎無差別通り魔事件の加害者と被害者。決して交わるはずのなかった人生が交錯した時、慟哭の真実が明らかになる感動長編ミステリー。www.gentosha.co.jp
感想
■被害者サイドと加害者サイドの話が交互に織りなされ、各サイドの事情が対峙と言えるものだったので、各サイドが交差するとき、どうなるのだろう??(平たく言えば、どちらが勝るのだろう??)というふうに興味が湧き、どんどん聞き進めることになりました。
■主人公の明香里の名前、オーディブルだったので、漢字が分かりませんでした。上記のサイトを見て初めて感じがわかる。なんとなく、「灯」という字をイメージしてたので、ちょっとギャップあります。これも音からのみ聞くことの特徴なので、面白いです。
■被害者サイドの明香里が命の恩人の飯村氏の人生の軌跡を辿る旅も、加害者サイドのライターが通り魔を起こした加害者の人生の軌跡を辿る工程も、丁寧な書き方で、興味深かった。
ノンフィクションライターの取材過程って、実際こういうふうに取材するものなのかな、とか、インタビューライターの業に興味がある私は、物語外の事情にも興味が湧きました。
■印象に残った言葉は、ストーリーの終盤で明香里が言われた言葉で、
「人生には絶対忘れないほうがいいことと、早く忘れてしまったほうがいいことがある。」
明香里にとっては、飯村氏に命を助けられたこと、彼の人生については、忘れない方がいいことだが、事件の苦しみは早く忘れてしまった方がいいことなのだ。
このことは、普通の生活にも応用できると思いました。すなわち、ある出来事があったら、いいことも悪いことも1つまとめて覚えておいていなきゃいけないと思いがちになります。しかし、いいことと悪いことは分けられることで、だったら、いいことだけ覚えておいて、悪いことはさっさと忘れて、前のことに注力すべきです。
上記のセリフは、「一つがダメでも、全部がダメなわけでない。全部と一部に過ぎない。」という考えかたとも繋がりました。
ちなみに、さらに、倉木麻衣の「Always」の歌詞や、B’zの「イチブトゼンブ」のメッセージが想起されました。
頭の中で、いろいろリンクが広がる。集中できていないわけではなく、無意識に蓄えられた知識が有機的にリンクする感覚で、こういう感覚が私は好きです。
■物語の終盤、クライマックスで、明香里が被告人に対し質問するシーンがとても印象的でした。特に、タイトルともなっている「罪の境界」というワードが出てきました。被告人はなぜ罪の境界を超えたのか、超えないように頑張ったことはあるのか?という被害者の言葉は、この本のテーマを端的に示すものかと思います。
「人を殺したら、人間ではなくなる。」どんなに辛いことがあっても、一線を超えないように、人間として生きることを選ぶべきなのではないか。そんなメッセージが読み取れました。
ビジネス書もいいですが、やっぱり小説は面白い!
加えて、オーディブルは目で読むよりエンタメ感が大きくなる気がします。
としても、映像ほどでなくて。なんだかほどよい感じがしておすすめです!
さてさて、次は何を聞こうかな?!
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