読書家の友達におもしろいよ!と勧められたオーディブル
はい、とてもおもしろかったので一気に聞いちゃいました!
感想を書きます。(少しのネタバレも嫌な方は、ご注意ください!)
ストーリー
埼玉一家惨殺事件の未成年死刑囚が脱獄した。24時間フル稼働する東京オリンピック施設の工事現場、介護者の人手不足に喘ぐ千葉のグループホーム、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会……。その場所に突然あらわれ逃亡そして潜伏を繰り返す彼の目的とは? 少年死刑囚の脱獄488日を追う!
感想
・残虐な事件を起こし、死刑判決を受けて、脱獄した未成年の犯人が、色々な場所に出没して、名前を変え、職を変え、逃亡生活を送っていく話。
彼には、何か目的があって、逃亡生活を送っているようだ。何のために?
このように、ストーリーがわかりやすくて、なぜ?という答えを知りたくて、どんどん聞き進めました。
各逃亡先では、そこのメインの登場人物が語り手となって、主人公の犯人の様子が描かれている。そのため、主人公の様子を多角的に表現していて、それが主人公ってこういう人なのかな?という積み上げとキャラの一貫性を持たせているように思われた。こういうのが、おもしろい!
・東京オリンピックに向けて施設を建設する工事現場とか、雇われライターになって女性の部屋に転がり込んだとか、介護施設とか、宿泊施設のバイトとか、現場がさまざまで、各々の場所で、いろんな人間関係が描かれていて、それが現実味を帯びていたので、ストーリーに厚みをもたらしていると思う。
・刑事に追われて、同居女性宅に対する令状がないのに、欺かれたように家宅捜索をされた場面では、本当にこんなことあるのか、ないのか、うーんと思う。この行き過ぎとも思われる刑事の行動は、物語の終わりの方で、その理由が明らかになる。ミステリーの伏線の回収がうまくできていると思った。
・本書の最大のミステリーは、彼が本当に犯人なのか?ということにつながってくるかと思います。スキーの宿のバイトで、痴漢冤罪を訴える弁護士が登場する。
このエピソードを経て、もしかして、犯人は冤罪なのかもしれないな?という流れにシフトしていったように思われる。すごく自然な流れで、読者を導いているように思った。流れが良い!ストーリー構成が上手いと思う。
・エンタメの要素が強い本書ですが、死刑制度の是非、冤罪の可能性など、大事な社会問題が中核に埋め込まれていて、ただのエンタメに終わらず、重要な問題について考えるきっかけを与えてくれる価値のある作品と言える。
・毎度ながら、オーディブルは朗読者の巧みな朗読術により、よりエンタメ性が高くなる!
ミステリーがお好きな方、おすすめの作品です!
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